寸法:W5cm D4.8cm H11.7cm
no.150
白樺のこっぱ(木片)を生かし、山の稜線を思わせる形状の中に人物を彫り出した、登山人形です。
こっぱ人形とは、今から約100年前に農民美術運動の中で生まれ、特に戦前の短い期間に集中的に制作された木彫の小さな人形です。こっぱ人形の一種である登山人形は、昭和初期から昭和40年代頃にかけて登山者土産として作られました。
険しい岩場に身を寄せ、杖を頼りに一歩を踏み出す登山者の姿が、最小限の造形で表されています。
切り立った白樺の木肌をそのまま山肌に見立て、自然と人物とが一体となった構成は、農民美術ならではの発想です。
削り跡を残した素朴な彫りに、自然と向き合う人の緊張感や静かな覚悟が感じられます。
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農民美術
今から約100年前の大正8年(1919)、洋画家・山本鼎が長野県で提唱した農村工芸運動。ロシアで目にした農民手工芸に感銘を受け、農閑期の副業による生活の安定と、美術教育・農村工芸の普及を目的に、木彫や刺繍などの制作が始まった。不作や震災、戦争へと向かう厳しい時代のなかで広まり、一時は樺太から鹿児島まで全国に120か所以上の農民美術生産組合があった。太平洋戦争の開戦とともに、昭和10年(1935)頃、産業としての農民美術は開始からおよそ15年で一度終焉を迎えた。農民美術は、素朴な造形の中に当時の暮らしと人々の気配を宿し、今に静かに伝えている。
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