寸法:Φ28cm H30cm
no.214
大ぶりの木彫による達磨像です。達磨像は各地に数多く見られますが、本像はその中でも彫りの力量と造形の面白さが際立つ、たいへん印象的な一体です。顔と衣を大きな量感でまとめた構成には、彫り手の確かな技術と造形感覚が感じられ、同種の作例の中でもあまり見かけることのない存在感を備えています。
まず目を引くのは、迫力ある立体的な顔の造形です。本像は正面をまっすぐ向くのではなく、わずかに傾いた姿勢で彫られており、その動きのある構図も大きな魅力となっています。厚く盛り上がる眉、大きく見開いた目、力強く張り出した鼻と頬、ぎゅっと結ばれた口元、そして大きな耳たぶ。これらは細かな線ではなく、大きな塊として彫り出されており、全体に力強い量感を与えています。単なる民芸的な達磨像とは異なる、彫刻的な迫力が感じられます。
また、この像の特徴的な点として、顔全体を包み込むように彫られた衣の構成が挙げられます。達磨は禅宗の祖師として厚い衣に身を包んだ姿で表されることが多いですが、本像ではその衣が顔の周囲を大きく取り囲むように配置され、顔の存在感を際立たせる構図となっています。顎下に配された、舌のようにも見える衣の意匠も印象的で、造形のアクセントとなっています。
表面には墨色の塗りが施されていますが、長い年月の中で塗装が摩耗し、下地の弁柄や木肌がところどころ現れています。剥落した塗りや細かな割れ、摩耗の痕跡が重なり、古い木彫ならではの荒々しくも味わい深い肌合いとなっています。左頬に入る大きな割れも、達磨の表情をいっそう渋く印象的なものにしています。
構造にも古い木彫像の特徴が見られます。内部は空洞にくり抜かれており、これは木割れを防ぐための伝統的な技法で、仏像や神像などの木彫にも用いられてきたものです。単なる置物ではなく、信仰像として作られたことを感じさせる作りです。
旧蔵は茶道家であり骨董蒐集家でもあった方のコレクションと聞いており、長く蒐集の対象として大切にされてきたものと思われます。
民俗信仰の像でありながら、彫刻としても強い魅力を備えた達磨像。空間に置くだけで独特の気配を生みだします。同様の作例は多くなく、強い個性を備えた達磨像として、印象深く記憶に残る一体と言えるでしょう。










































