寸法:W6.5cm D9.5cm H2.3cm
no.093
金沢箔を贅沢にあしらった、小判型の小物入です。
約430年の歴史をもつ金沢箔は、今日まで受け継がれてきた伝統の技。
やわらかな丸みを帯びた蓋一面に金箔を施し、光を受けるたびに揺らぐような繊細な輝きを見せます。金箔はおよそ一万分の一ミリという極限の薄さにまで打ち延ばされながらも、金本来の輝きを失いません。きめ細かな箔肌が奥行きを生み、単なる金色とは異なる華やぎを湛え、加賀百万石の美意識を今に伝える佇まいです。
意匠は、すっと伸びる葉と可憐な花を描いた蘭文。緑と白、そして紅の差し色が金地に美しく映え、簡潔ながらも凛とした存在感があります。蘭は古来、高潔・気品・長寿の象徴とされ、吉祥の文様として親しまれてきました。
身は朱漆、内側は黒漆仕上げ。外の華やぎと内の静けさの対比が心地よく、蓋を開けたときの色の移ろいもまた魅力のひとつです。
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金沢箔
文禄2年(1593年)、加賀藩祖・前田利家が豊臣秀吉の朝鮮出兵に従い滞在していた肥前名護屋の陣中から、国元へ金・銀箔の製造を命じる書を寄せていることに始まると伝えられている。江戸時代には加賀藩の保護と工芸振興政策のもとで発展し、蒔絵や仏壇、建築装飾と結びつきながら一大産地へと成長した。明治以降も技術は継承・改良され、現在では国内の金箔生産のほとんどを金沢が担っている。製箔は単に金を打ち延ばす作業ではなく、各工程において熟練を要する繊細な手仕事であり、その積み重ねが金沢箔の歴史と技を形づくっている。
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・これらもまた、器が時を重ねていく中で生まれる表情としてお楽しみいただけましたら幸いです
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